理系院生徒然草

理系院生の試合備忘録

サッカーのマッチレポ

CL マンチェスターU対PSG 不運と決断の行方

CL16ラウンドの2ndLegである。

1stLegは2-0でPSGがアウェーでものにしており、かなりパリ有利だといえる。ただカバーニネイマールを欠きやや前線に不安が残る。

対するマンUはかなり厳しい状況もスールシャール監督就任以降は調子を上げている。

こちも中心選手のポグバが欠場し右SBも欠員。若手がいっぱいだ。

メンバーがこちら

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メンバー

パリは可変で攻守で配置を変更する。

マンUは5バックも予想されたが蓋を開けると割と古典的な4-4-2である。

攻めるパリと失点と

サッカーというゲームにおいて最も大事なのはスコアである。よってチームの戦術戦略はスコアによってその形を変えていく。大事なので何回も言います。

特にCLのトーナメントはホーム&アウェイのためやや複雑な条件になる。

パリはアウェイで2-0で勝っているので2失点までは許容できるが、3失点以上するとタイスコア時に2アウェイゴール2倍のルールによりとても大変なことに。

一方のマンUは最低でも2ゴールが必要だが、失点も許されないというかなり劣勢な感じ。

前半2分いきなり試合が動く。ケーラーのバックパスミスからルカクがゴール。

入りがやや軽くなっていたのか、かなりもったいない失点であった。

この時点でトータル2-1(PSG-マンU

マンUとしてはあと一点で少なくとも延長には持ち込め、パリからすると1点を守るには余りにも時間がありすぎる。

そこでパリは引くことなく自身のスタイルであるボール保持で以降のペースを握っていった。

 まずはユナイテッドの守備から

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マンUの守備

1点を早い時間に奪えたためか2トップは激しいプレスをかけることはなく、センターライン~自陣までリトリートしていた。プレスバックはあまりせずカウンター要因の模様。

SHはハーフスペースのシャドーの二人を見るように中のコースを消すように絞っておりWBに入るとSBと挟み込みに行くなど献身性を見せる。

DFラインはマンツーマン気味でトップに対してはしっかりと人がついていくことが多い。そのため何度か開けたスペースを使われていた。

中盤のマクトミネイとフレッジは基本迎撃部隊で2度追いすることもあるなど自陣では簡単にはボールを持たせたくないようなマンUであった。

気になったのはヤングとバイリーの関係、マークの受け渡しが曖昧でヤングが不必要に下がり過ぎていたり、ディマリアに食いついたバイリーの裏をベルナトに使われるなどしていた。

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怪しそうな所をまとめると

  • 右サイド
  • 人についていった後のスペース
  • 大外から入ってくるWBのマーク

 

パリのオフェンス策を見ていこう。

まずはビルドアップ

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ビルドアップ

相手2トップが中央に鎮座しているので脇からサイドCBが運んぶことが多く、時々ヴェラッティが脇のスペースで受ける(遠藤ロール)ことで前進、そのままWBに渡すことが多い。

その後は引くマンUに対してどのように崩していくのかが鍵となっていった。

配置はこんな感じ

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パリの攻撃

トゥヘル監督は割と自身の志向している戦術を選手に当てはめていく監督のイメージであるがこの布陣では割と選手の個性に合わせた戦術で臨んでいるようであった。

まず目立っていたのは左サイドのディマリアである。

相手の右サイドが怪しいのを感知したのか、ハーフレーンから大外レーンに流れてサイドを突破しておりバイリーを苦しめていた。

人に強い意識を持つマンUに対し裏抜けからチャンスを作り、10分にはまずマルキーニョスの裏抜けから一度戻し、再びムバッペの裏抜けから大外のベルナトがゲット。

マンUの守備が怪しげな所をしっかりと突いていくパリであった。

特にCB-SB間の裏抜けはチャンスになりそうであった。

その後もサイド突破から大外のベルナト、アウベスにマークがおらずフィニッシュまで持っていかれるマンUである。

続いてパリの守備とマンUの攻めを見ていく。

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パリの守備

パリは守備時にディマリアが少し下がり4-4-2の形へ、ネガトラをしっかりと行うことでマンUはボールを持てず、SBの裏にロングボールを蹴るぐらいしか策はなさそうであた。

しかしいい流れがずっと続くわけではないのがサッカーの面白い所。

追加点を奪えそうで奪えないパリはややイージーなミスが増えていき、その結果組織だったネガトラが行えなくなっていく、またマンUもプレスに慣れたのかポジトラで打開できることが増えていき、マンUがボールを持つ時間が長くなっていった。

個々で見るとフレッジは球離れがよく密集でもうまく躱してボールを繋いでおり、前線ではルカクがタメを作り押し上げの時間を作る。

そして29分上手くボールを繋いだマンUはラッシュフォードのミドルからルカクが押し込み2-1となるスコア。

アウェイゴールで並んだマンUはあと1点とればかなり有利になり、パリはこれ以上の失点を避けたいところ。

スールシャール決断の1手

勝ち越し後スールシャールの手は右SBのバイリーに代えてダロットを投入

怪我ではなく戦術的な交代の模様。

ヤングが右SBダロットが右SHとなり4-4-2継続のユナイテッド

膠着したまま前半を終える。

後半も同じように攻めるパリに対して4-4-2で守るマンUという構図が続く。

引き続きディマリアの突破やWB-WBの大外クロス、ライン間で受けるドラちゃん、ムバッペの裏抜けと攻めるパリ。

57分スールシャールが動く。

試合が切れたときにヤングとラッシュフォードを呼び指示し、5-4-1に変更を行う。

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変更

これはスールシャールにとっても割と賭けだったのではないだろうか、実質1点差で負けている以上失点がまず避けられない、かといって攻めなければ敗北が決まってしまう。そんな中後半始まってから10分後というタイミングであえて後ろに人を増やしたのは

  • 後半になってもパリが同じように攻めてきたことを確認
  • ホームのパリがこのあとも攻め続けるという読み
  • 攻め込ませることでカウンターで仕留める

あたりが考えだろうか。

個人的にはここがパリのホームであったことも大きい気がする。オールドトラッフォードではこの欠断は好まれなさそうだし。

そこでトゥヘルは受けて立つとばかりにヴェラッティをやや高くしして試合を決めに行く。

1トップに変更し相手の後ろの枚数の変化に合わせる論理的な采配。

また相手の変更に対してディマリアが再びハーフレーンに戻り中央を厚くするパリ。

さらにDFラインはセンターラインよりも高くし、カウンターすらさせないという布陣に移行し、相手の誘いに乗る形で試合を決めに行く。

70分ドラクスラーに怪我によりパリは

ラクスラー、ケーラー⇔ムニエ、パレデスへと選手交代

またしてもパリは配置変更なんとアウベスがトップの位置に。

マルキーニョスが下がりパレデスがCMFへ。

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パリの選手交代

結果論にはなるがマルキーニョスを下げたことで中盤のフィルターは弱まっていたと思われた。またCMF二人とも割と出ていっての守備をするのでDFラインの前が空いていることも。しかし後ろではやられそうな雰囲気はなく

結局はトレードオフかなと。

パリのカウンターも増えるオープンな展開に。

ムニエはガンガンオーバーラップしてチャンスを作るも決定機には至らず。

この辺のパリのゲームの進め方は悪くはなかったと思う。チャンスも作れていたし、カウンターもある程度潰せていたし。

変に引いてしまうよりは自分達スタイルで勝ち切ろうという好感の持てるゲーム運びだと思われた。

ただマンUもチャンスらしチャンスはなくパリペースで試合は進む。

ぺレイラ⇔チョン

前線の3人はしっかりとプレスに行きつながせないパリ。

あくまで引きすぎず試合を決めに行く。

ヤング⇔グリーンウッド

そして89分ことは起こる。マクトミネイのミドルにキンペンべがハンドでPKを献上。

無情のVAR判定である。

これをラッシュフォードが決めマンUが3-1に。

カバーニを入れて点を奪いに行くもタイムアップでユナイテッドが激闘を制した。

感想

パリはベスト16に魂を引かれているのか!という感じ

このサッカーをして勝ち抜けれないのは切ないし、3失点とも何とも言えない形でかなりの運命力を感じた。

VARに目が行くが戦術的にも見ごたえのある試合であり、スールシャールとトゥヘルの差し合いは非常に面白かった。

5バックで一度引いた采配は結果的に大当たりであったし、段々とラインを整えることで裏抜けをオフサイドに掛け、懸念の右サイドと大外は選手と配置の変更と、序盤に見えた穴を次々とふさいでいったのはお見事。

パリも後半のアウベス、ディマリア、ムバッペの3トップは守備もするしカウンターも早いとトゥヘルらしい論理的な采配でじっさいムバッペが決定機をものにしていれば普通に終わっていた試合であったかと。

個人的に優勝候補だったパリがここで姿を消した。