リバプール対アーセナル エメリの策と地力の差と
お久しぶりのマッチレポです。書きたい試合が多いものの就活に研究と忙しい日々だったりします。
今回はアーセナル対リバポ。
共に連勝スタートで初めての強豪対決というところか。悲願のリーグ制覇を狙うリバポは大きな補強はなく、怪我人の復帰が補強という感じ。今年も優勝候補の筆頭であろう。対するはアーセナル、補強ではぺぺ、ダビド・ルイスやダニセバージョスなどいい補強をしており、ウィロックやナイルズ、ゲンドゥージなどの若手も台頭してきている模様。
メンバーは以下
リバポはほぼベストな印象。アリソンの怪我によりアドリアンが先発もややCB陣との連携が怪しい感じ。
アーセナルは4−3-1-2を選択し、トップ下にはダニセバージョス、2トップにはオーバメヤンとぺぺの快速コンビ。
エメリの狙い〜取捨選択〜
この試合のアーセナルの配置は4-3-1-2で2トップを残す形であった。
この配置での試合は今シーズン初らしく、エメリのリバポ対策の模様。
狙いとしてはわかりやすく
- 快速2トップによるカウンター
辺りが考えられる。では如何にしてカウンターを狙っていたのかを見ていこう。
噛み合わせとしては図のようになる。
3センターではどうしても大外のSBまでプレスに距離が空いてしまい、プレスが遅れることが多い。そこでリバポの両SBがフリーになりやすく、SBからの攻撃が目立つリバポ。またリバポの攻め方として、ボールサイドと逆サイドのSBも高い位置をとっており、エメリとしては
アーセナルの2トップがSBの裏を狙う⇔リバポのSBが比較的フリーになりやすい
の2つを天秤にかけた結果前者に傾いたのだろう。また計算として
防げるというのは頭の中にあったと思われる。
ただ2点目はアーノルドの縦パスから生まれていたり、ロバートソンから再三いいクロスが入っていたので計算としてはやや狂っていたのかもしれない。
SBやIH、ファビーニョでボールを動かすリバポに対して、中央を固めてカウンターを狙うアーセナル。特にアーセナルのSBはサラーとマネを警戒し、かなり中寄りのポジションであった。
序盤はエメリの作戦がハマり中央でボールを奪った後に簡単に裏のスペースへボールを出してペペを走らせたり、左IHのウィロックの突破からゴールに迫っていく。
セバージョスの守備のタスクとは?
気になったのはトップ下であるセバージョスの守備であった。最初はファビーニョをマンマークするのかなと思いきや、そこまで見ている様子はなくIHやSBに寄せては空けたスペースを使われておりやや疑問だったの気もする。
守備時は3センターより一列前で守ることが多く、狙いとしてはカウンター時に快速2トップに繋げる役割を期待されていたのだろう。
リバポの攻め筋
対するリバポの攻め筋を見ていこう。
ビルドアップの段階では相手2トップがそこまで寄せてこず、セバージョス曖昧な位置にいたので、SBやアンカーのファビーニョを起点に前進を進めていく。
IH下ろし(ワイナルダムやヘンダーソンがSBの位置に降りる動く)が自陣でほぼなかったのはアーセナルが前から行かなかったことに起因しそうである。
攻めの中心は両SBとフェルミーノであった。
エメリの策により時間とスペースを得た二人はそれぞれの持ち味を生かしながらゴールを目指していく。左SBのロバートソンは縦に突破してのクロスや、アーリークロスからチャンスを作り、右SBのアーノルドは斜めの楔のパスから打開を図る。
彼らの動きに呼応するのがCFのフェルミーノで、3センターのスライドのズレを狙いながらボールを受けて攻撃を加速させていく。特によく動くジャカ、ゲンドゥージが空けた所は狙っていた感じであった。
またフィルミーノが裏へ抜ければSB-CB間にマネとサラーの両WGが入り込む形だったのだろう。
ただ中央を固めるアーセナルの守備を崩しきれず、ウィロックやペペの突破から好機を作られる嫌な展開に。
そこで存在感を出してくるのがワイナルダム、ヘンダーソン、ファビーニョの中盤トリオであった。
特にネガティブトランジション(攻撃⇒守備)の局面でアーセナルの中盤に襲い掛かり、ボールを再奪取することで2次攻撃に繋げるリバポ。
そこで40分、アーノルドのCKから先制に成功する。
さらに後半開始早々、アーノルドの楔からPKを奪取し追加点を得るリバポであった。
さらにリバポペースが続く中58分サラーのゴールにより、試合を決定づけるリバポであった。
得点シーン詳細
このシーンではアーセナルの守備にエラーが重なっていたので詳しく見ていく。
ボールを奪いサイドチェンジしたリバポに対し、オーバメヤンとぺぺで上手くコースを消したアーセナル。
ここまでは良かったのだがこの点で3つほどエラーが起きている。
- ゲンドゥージとセバージョスのポジションが被っており、一番守らなけらばいけないDFラインの前のエリアが完全にあいてしまっている。
- 後ろのDFラインが押し上げておらず数も同数であること。
- 左ではモンレアルとウィロックがともにヘンダーソンを見てしまっていること。
この後ファビーニョにパスが出るのだがこの後もエラーが起こっており、
- 後ろの状況を把握せず飛び出してしまったジャカ
- 下がらずに前に出たしまったモンレアル
- サラーに対してカードをもらっているにも関わらず当たりにいったルイス
と中々エラーだらけである。
恐らくだが、ウィロックがファビーニョに当たり、モンレアルが下がっていれば起こらなかった失点である。
3−0になりやや引いたリバポに対して、よりボールを保持して攻めていくアーセナル。
トレイラ、ラカゼットを投入し攻勢に出るも80分のトレイラのゴールのみでゲームセットであった。
感想
エメリはリバポをリスペクトしすぎたのかなぁと、ただ策自体は面白くぺぺが序盤のダイクに勝てていたあたりで点が取れていればという内容。決定機もあったので。
誤算はダニセバージョスがオフェンスで機能せず、守備でも不安定なポジショニングに終始した印象である。
一方のリバポ、チームとしての厚みを感じる試合であった。徐々にアーセナルの策に対応しつつ、セットプレーから得点し後半で突き刺すという堂々たる内容。
チェンバレンには個人的に期待している。