ベディスvsレアルマドリー 理想を貫いたベティスと理不尽なレアル
戦術的な面白さや、ポジョナルプレーを信奉するキケセティエン監督、日本のスター乾などで日本でも有名になりつつある気がするベディス。
ロナウドが抜けてベイルベンゼマが爆発すると思いきや、怪我人や不調とここ数年のツケが回ってきた感のあるレアルマドリーの一戦。
ロペテギが解任され、注目の後任はOBのソラーリと繋ぎ感が満載の人事に。
ベティスは今季何試合か見ているが、ボール保持を志向し、キーパーからもガンガン繋いでいくスタイル。フィニッシャーがいればもっといい位置なのかもしれない。
往年のリーガファン的にはホアキンカナレスグアルダードと懐かしの選手が多い。
基本的には3-1-4-2のシステムを採用している。
一方のレアルはロペテギになってからかなりボール保持に傾いていたが、スピード感に欠けていた印象。ソラーリ後は初観戦。
メンバーはこんな感じ。
レアルは若手が大量発生しており、どこのバルサやねんという趣。
一方のベティスは2日前のソシエダ戦と一緒のメンバーらしい。大丈夫か??
読みの外し合いと試合を動かせる選手
試合早々に面白い光景が見られた。今季352で進めていたベティスは433でスタート、一方のレアルは352と逆やないかという立ち上がり。お互いに対策を練りあった結果なのか、はたまた人員ゆえなのか。
そんな序盤ペースを握るのはベティス。
キーマンはWカルバリョ、2トップと3センターの間に位置しボールを散らす。
レアルは最初カルバリョに誰が当たるのかがなかなか決定されておらず、フリーで配給される場面が目立つ。
サイドで人の動きが若干異なるのが面白いところ。
左サイドではホアキンが中に入り、フランシスが幅取りする場面が多い。
グアルタードは幅を取ることもあれば、裏に抜け出したり中央にいたりと幅広く動く、動きながらマークマンのモドリッチの動きを探っていた感じがあった。
一方の右サイドではテクニシャンコンビのロチェルソとカナレスのコンビでゲームを作る。カナレスは右半身で敵をブロックしながら左足でボールを隠す得意のプレーによってサイドで基点となり、ロチェルソは上手くバルベルデのマークを外しながら運ぶドリブルからチャンスを作っていく。
バラガンは2人がキープしていると上がるようになっておりフランシスよりも基本の位置が低い、これはリスク管理も兼ねているのだろう。
中央のサラブリアは抜け出しにポストと色々なワークをしているが対面がラモスということで中々決定的な場面はなかった。
Rマドリーは3センターで試合に入ったため、マッチアップは図のようになる。
アンカーがそのままアンカーにプレスをかけに行くチームもあるが、カゼミロはそこまでプレスする意思は示さなかった。
前述の通りグアルタードがモドリッチを動かすようなポジショニングを取ることで、モドリッチはプレスに行きにくかったのかもしれない。
ベティスペースで進むも13分、カルバハルの上がりからモドリッチのスーパーなボレーで先制するレアル。やっぱり理不尽である。
菱形作りと頂点の選手の動き
ピッチが菱形でいっぱい
一度ベティスのボール保持について見ていこう
基本的にはポジショナルプレーの原則である
「1つ前の列の選手とは同じレーンにいてはならず、2つ前の列の選手とは同じレーンにいる」を順守しながらプレーしていたと思われる。
一列前列の選手は角度を作ってパスコースを作る。
図にするとこんな感じ。結果的に菱形が出来上がる。
選手たちが菱形を作ることを意識しながらプレーしているのか、はたまたポジショナルプレーの原則に則ってプレーしていると結果的に菱形が出来上がるのか。
どちらであるかはキケセティエンに聞かなければわからないが、これだけピッチ上にうまく菱形ができるのは興味深い事象である。
具体的なポジショニングを見ていこう。
このようにWカルバリョが結節点となり、二つの菱形を作りながら前進を目指す。
大事なのは相手を見ること、ベティスの選手はレアルの選手の位置をみて自身が動くことで相手を動かし、菱形を作っていく。形の決め打ちではないのである。
頂点は移動せよ
これはIHとWGの選手が主に行う。
菱形の頂点の選手へのパスは所謂列を飛ばすパスでビルドアップ時の前進に欠かせないパスである。その分マークが激しく出すのが難しいのだが、ベティスは頂点の選手が抜け出し、そこに別の選手が入ってくることでパスを受け易くしていた。
またこんな亜種も
頂点が変わるだけでなく、菱形の中に人が入り新たな菱形を形成するパターンもありおもしろい形であった。
特にロチェルソは指示の感じを見てみると配置を気にしたり、敵の動きを見ながら移動できる選手なのであった。
IHが機を見て相手のIHの背後(アンカーの脇)を取る場面もあり、本当に相手をみてポジショニングしていると感心させられる。
スコア後のゲームの様相
スコアが動いたあとも同じようにゲームを進める両チーム。
動き出すのはモドリッチ
Wカルバリョを牽制しながらCBに寄せたり、直接プレスしたりと供給源を止めに行くことで徐々にレアルがベティスのボール保持を阻害できるようになっていく。
ベティスも自陣でパスをひっかける場面もあり、カウンターでチャンスができるマドリー。
キーマンはヴィニシウス、恐るべきスピードと自信満々なドリブルで左サイドからチャンスを作る。
特にネガティブトランジション時のロチェルソとカナレスのコンビの後ろのスペースを上手く使っていた。
その後レアルは時間がたつにつれて重心を下げ、PA前ぐらいでラインを設定し相手を引き込んでいく。
このときベティスはWGの二人(ホアキンとカナレス)の中に入った後のアクションが少なく、ディフェンスの前でボールを回すも決定機までは作ることが出来なかった。
後半開始と同時にベンゼマ⇔クリスト 前半終了間際のプレーでベンゼマが負傷交代した。
後半マドリーは2トップの内どちらかがWカルバリョを消すようにポジションを取る。
ただWカルバリョ自体に強く寄せるわけではないので後半も変わらず配給を続けるカルバリョであった。
後ろのビルドアップを阻害できない⇒いい形で中盤にボールが入るので寄せれない⇒最終ラインが下がる
といった流れで後半も押し込まれていく。
レアルの守備の左右の違いとか
右サイドではモドリッチの位置がかなり低く、Wカルバリョを見るタスクは終えてグアルタードをみながら時には大外のフランシスのマークまで行ったり下がって実質6バックの時もある。
なんとか守れていた右に対して左は突破される場面が多い。
中央のカナレスとロチェルソからボールを奪えず、バラガンの上がりに付いていく人がいないことがままあった。
ここまで左右で違いがあると、レアルは守備の基準があまりなく誰がどこまで誰を付いていくのかがはっきりと決まっていなさそう。
個々の判断でやっているのかもしれない。
まぁ右サイドの守備のほうが強そうではあるけども。
ただカウンターは鋭く、ヴィニシウスやレギオンを起点にチャンスを作る。
ベティスは大外の幅取りはSBがして攻め込んでいき、後半になってカナレスの裏を取る動きが増えていく。
20分フランシス⇔テージョ
その1分後ロチェルソ⇒カナレスでゲット。
二人とも股を通したおしゃれなゴールで、カナレスの裏抜けが報われた瞬間でもあった。
その後も変わらず攻め込むベティス
レギオン⇔ダニセバージョスで4-4-2っぽくなるレアル。中盤4にはフラットか。
バルベルデ⇔ブラヒムディアス セバージョスが真ん中に入り、ディアスが右サイドへ。
43分フリーキックからセバージョスが決め勝ち越すレアル。
ビルドアップのミスからのカウンターである。
低い位置での中へのドリブルからのロストは失点につながるねと最近どこかで見た形。
そのままレアルが逃げ切ったのであった。
感想とか
ベティスのサッカーが面白かったのだが、それ以上にここまでリーグ中位の相手にドン引きのサッカーをしたレアルやソラーリ監督には驚いた。サンティアゴベルナベウでこんなサッカーしたらブチギレられそうなものだが。
ただ結果は出したので案外策士なのかもしれないソラーリ監督である。
ただチームとしての戦術がなさげなのだがどうなるだろうか。
選手ではモドリッチが流石のプレーをしたのと、ヴィニシウスがよかったと思う。
ヴィニシウスは某ディエゴトーレスにボロクソに(2部レベル?)言われていたが普通にいい選手であった。加速性能とメンタリティーが素晴らしい。
一方のベティスは433の方がいい気がするのだがどうだろうか、ここまで押し込めると幅取り部隊が高い位置を取れるので必殺のSB-SBができそうな。
ロチェルソはかなりいい選手で運べて出せて動ける現代的な選手、また自身や味方のポジショニングの認知と修正が上手い気がする。
あとは点取り屋がいれば。。。
乾はホアキンさんがいるので相変わらず苦しいか。。。
fin