CL PSG対リバプール トゥヘルの狙いを見よう。
前節にリバプールが敗北したことで混戦となったグループCでのビッククラブ同士の対決である。
前回対戦ではホームでフェルミーノの劇的ゴールによって勝利したリバプール。
リーグ戦でも無敗と好調を維持しているも、戦術的に対応されつつある様子。また個人的にな流行りのストーミングはやってないんじゃないかと思ったり。
対するはPSG、CL優勝が至上命題で今シーズンはトゥヘルを招聘。戦術家のトゥヘルがPSGに合うか疑問に思われたが、始まって見ればリーグ戦では圧倒的な成績を残している。
来年にはムバッペが出て行きそうなので今年が正念場か。
メンバーは以下。
お互いにベストメンバーのような気がする。
知らんけどり
右サイドバックのケーラーは初見。
442表記にしたがPSGは可変式で局面ごとに複数のフォーメーションを使い分けていた。
ディマリアのポジショニングが一時期のレアルやフランス代表みたいな形だったのが印象的。
トゥヘルの狙い
試合を見ると大方の予想通りボールを持ちたいPSGと、奪ってから手取り早く攻めたいリバプールとなった。
PSGの狙いをみるためにまず、リバプールの仕組みから見ていこう。
リバプールの基本戦術
ハイプレスからの素早いカウンターである。具体的には図のような感じ。
キモは
- WGが外のパスコースを切って寄せて中にパスを出させる。
- 中央に入ったボールをIHとアンカーで奪いきる。
これは今まで自分が見てきた試合であったり、様々なコラムで書かれている。
このプレスも最近は対策されておりアーセナルはSBに上手くパスを通すことと、ジャカトレイラのポジショニングでプレスを外していた。
もちろんこの形が多いと感じているだけで、他の形も多分にある。
このリバプールの仕組みを元にPSGのやり方を見ていこう.
PSGのボール保持
マルキーニョス、ヴェラッティ、ネイマールあたりが鍵でありそれぞれの役割を見ていく。
PSGの初手はスリートップに対して中盤からマルキーニョスがCB間に落ちて三枚の前線のプレス部隊に対して同数のポジショニングをとり、二手目のWGとCFの間に顔を出すヴェラッティの4枚で主にボール保持を行なっていた
これはなかなか驚きである。バックラインと敵FWだけを見れば数的同数なのでかなりリスクを背負っているように見えるが、上手くボール保持を行なっていた。
次の手は中盤のお話。
間で受けるヴェラッティがエグく、常にトップの背後をとるようにポジショニングし、ボールを持つと運ぶドリブルで敵を交わしボールを前進させていた。
ヴェラッティがエグいのはただバックラインと前線への繋ぎ役となるだけでなく、推進力を持って前にボールを運べることである。
加えての時SBのポジショニングが上手く、リバプールの一列目と2列目の間もしくは2列目の横と高さを変えながらポジションをとり、バックラインからのロングボールでビルドアップの脱出口となっていた。
三手目は天下のネイマールさんである。
左のハーフスペースでボールを受けると無双しチャンスを生み出しまくっていく。
試合の強度が高くプレスも激しいなかでネイマールは全くボールを失うことがなかった。
2.3手目のヴェラッティとネイマールの剥がしによって、リバプールとしては取り所と設定している中央で奪い切れず突破を許してしまう。
カウンターのためあまり戻ってこないスリートップ故にPSGのSBをなかなか見ることができず、ハーフスペースからフリーでボールを提供されてしまう場面が多い。
この流れでボールを支配しながら最終的にはムバッペとネイマールのコンビでも殴れるのだからPSGはやっぱりエグイ。
考察 トゥヘルがこの戦術を選んだ理由
この辺は考察なのであっているかどうかはわからない。
初手のマルキーニョス落としについて
一つはポゼッションの安定であろう。三枚の相手に対してCB二枚では心もとないからだ。
2つ目カウンター対策とも思える。ビルドアップで引っ掛けたとしても後ろには3枚残っているので最悪同数での対応が可能となる。
3つ目はマルキーニョスだからというもの。
元々CBの選手であり、いくら足元のテクニックがあると言っても限度があり間受けでは厳しいとの判断
4つ目は後述のリバプールの攻撃に対するPSGの守備のために元々マルキーニョスがセンターハーフにいると言うこと。
逆転の発想とも言える。守備時は列を上げるということである。
二手目、三手目については個の質でプレスを剥がせると計算していた可能性が高い。
リバプールのボール保持攻撃とPSGの守備
基本はPSGがボールを持ち、リバプールが奪ってショートカウンターという展開が多いがもちろんリバプールもボールを持つことがある。
攻め手2つあり
- 縦に早くロングボールをスペースに蹴っ飛ばす。
- IHがSBの所に落ちSBを押し上げ斜めのパスを狙う。
1についてはサラーとマネの速さを生かす割と単純な戦法である。マーカーを振り切る走力と単独でシュートまで行ける2人なので他のチームよりはモノになる可能性が高い。
2についてはミルナーは主に右、ワイナルダムは左のスペースに落ち攻撃を組み立てる。
ここからWGの裏に蹴ることもあれば前方のSBにつけるたり、降りてくるフェルミーノに斜めのパスを目指す。
2の攻撃ではIHであれSBであれ斜めのパスを積極的に用いる。この斜めのパスが攻撃のスイッチになるのだろう。
フェルミーノが下りてきて受けたり、サラーがポストプレーで受け反転から攻撃する。
どちらの方法でも一番大切なのは前方30メートルでスリートップに前向きでボールを持たせることである。
これらのリバプールの攻めに対してのPSGの対策はWGに対してのプレスバックやカバーリングで数的優位を形成し止めるというものだった。
前線ではディマリアやヴェラッティがよく走りSBと連携してマネ、サラーに2人がかりで当たっておりリバプールを苦しめていた。おそらくトゥヘルもしっかりと狙っていたのだろう。
後方ではマルキーニョスのプレスバックやCBのカバーリングも早くピンチを防いでいた。
またPSGの守備陣の気迫がえげつなく、特に後半は寄せがとても厳しく行けていたのが印象的である。
試合展開&雑感
前半のうちにうまく崩したPSGが2点をゲット、どちらもネイマール絡みなのはさすがである。特に2点目のムバッペとのワンツーはスピードを殺さない素晴らしいボールタッチであった。リバプールはPKの1点のみで、試合はPSGが制した。
カバーニやディマリアがエゴを出し過ぎずチームを機能させていた。
ディフェンス陣のバイブスが素晴らしく勝利後の喜びようなどこの試合にかける思いが伝わってきた。
リバプールはPKの1点のみで決定機もほぼなくなかなか苦しかったか。
IH落としで受けるのがミルナーとワイナルダムなので、なかなか良いボールが供給されないのは厳しい感じがした。
特にこの試合ではこの2人は放置していいから、パスコースの先にいるやばい奴を潰そう、というPSGの策が上手く行っていたと思う。
ボールを持てるナビゲイタが入ってからはまた趣が変わっていたので、結局突き詰めるとハイプレスにも対応しめっちゃうまいというスーパーマンが必要になってきそう。
キンバンペがボール保持時にポカをしなければ普通に優勝候補かもしれないPSGであった。
出来ればSBもっといい人材が欲しいかもだが。
グループCはどこがぬけるでしょうか。