理系院生徒然草

理系院生の試合備忘録

サッカーのマッチレポ

チャンピオンズリーグ バルセロナVSマンチェスターU  バルベルデの策なのか否か

チャンピオンズリーグもベスト8と佳境を迎えており非常に注目である。

4カードの中から今回はバルサマンUを見て行こう。

このカードはチャンピオンズリーグの決勝が印象的でどちらもバルサが勝っている。

ホームのオールドトラッフォードマンUはどのように戦うのか。

一方のバルセロナ、2年連続でベスト8敗退とそろそろCLを奪還したいところ。ほぼリーガを手中に収めていることが吉と出るか凶と出るか。

メンバーはこちら

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メンバー

マンUはおそらく5バックと2トップ、中盤にポグバが戻りアンカーにフレッジが入る。

バルサは3トップにコウチーニョを起用。

中盤も選択肢があるなかでIHはラキティッチとアルトゥールが入る。

ボールを回したいのかなというメンツ。

 先制までの両者の動きとか

試合開始は戦前の予想の通りバルセロナがボールを保持しマンUが守る展開になった。

まずはマンUの守備の仕組みから見ていこう。

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マンU引いた守備

基本はマンツーマンの守備

バルサにボールを保持されるもライン間を使わせない意識が強いマンUは最終ラインの高さが目立っていた。最終ラインを高くすることで中盤との間のスペースを使わせない。

所謂圧縮であるが、最終ラインを押しあげて圧縮するのはレアな形。

これはバルサに裏抜けの選手が少ないことを見通しての策なのかもしれない。このメンツだとスアレスを警戒すれば大丈夫と判断したのだろう。

バルサは中央にいるメッシを中心にボールを動かすことで隙を伺う。やり直すパスも多くマンUが綻びを見せると突く感じ。

前半11分横パスの連続からメッシが一旦は足元で受ける動きをしてショーを引きつけた後に最終ラインの裏へ猛ダッシュしボールを引き出す。そのメッシのクロスをスアレスが合わせ結果オウンゴールバルサが先制する。メッシのオフザボールのいい動きと見逃さなかったブスケツの好プレーであった。

ここでバルサのビルドアップも見ておく。

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ビルドアップ

マンUが2トップだとわかったバルサは人数調整にブスケツ(時々ラキティッチ)がCBの間に落ち3枚で前進を図る(サリー)

後ろの3枚でボールを動かしながらIHの二人(もしくはブスケツ)は2トップの間に顔を出しながらボールを前進させていく。

狙いとしてはボールを動かして2トップ及び3センターを動かすことだろう。

2トップのプレスに対して以下のような中盤の受け方で状況を打開していく。

人に対してスペースが過剰なため3センターの脇というどうしても空いてしまう箇所を狙う感じ。

2トップ+3センターに対するビルドアップの方法としては

  1. 2トップか3センターの脇のエリアから前進
  2. ボールを動かすことでスライドのズレを作る
  3. 逆サイドにロングボールで展開
  4. 2トップの間で受ける

などが挙げられるがこの試合で見られたものをいくつか紹介していく。

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ボールを動かす

分類では1と3、4の合わせ技。

全員でやることが共有されているのでプレスにも上手く対応できる。

この試合では2はあまり見れなかった。

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IHの脇

あなたはどこまで付いてきますか?と言わんばかりのバックステップ。

付いて行きすぎるとアンカー〜IH間が空きメッシやスアレスへのパスコースができそう。

ビルドアップの最終目標はいい形でボールをメッシに渡すことっぽい。

ビルドアップ後の攻め方はこんなのである。

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システムメッシ

まぁメッシはもっと前でボールを持って欲しい所ではある。

攻撃システムに加えて素早いネガトラによりペースを握っていく。スアレスの切り替えは素晴らしくメッシもこういうビックマッチでは守備をそこそこ頑張る。

先制後もボールを保持して攻めるバルセロナだが徐々にマンUが押し返していく。

マンUはなぜ押し返せたのか

20分ぐらいからマンUが押し返し始め徐々にボールを持てるようになっていった。

理由としてはビルドアップに対して2トップが引くのではなく勇気を持ってプレスにいったことそしてそれを支えた中盤の運動量である。

マンUの中盤トリオの運動量はチームでも一番多く多局面に関わっていた。

ポグバは前目の位置でのプレス、マクトミネイは空いた所を穴埋め、フレッジは後ろのカバーもするなど種類も多岐にわたる。

第一の手は3枚のビルドアップ隊に対しての同数プレスである。

 IH(主にポグバ)を押し出すことによってパスコースを制限しボールを蹴らせるもしくはハメる。

3枚の内一枚を押し出すのは相当な運動量がいるがポグバとマクトミネイはこのタスクを愚直に行なっていた。

タスク訳としては降りる選手に付いていくのは基本ポグバであり、マクトミネイはバルサのIHを見つつヤングが間に合わない時はアラバに行く。

仮説

 ちょっくら寄り道でこのポグバとマクトミネイの役割分けに付いて考えていく

戦術とは相手との対話なので

  • 自分達の主張
  • 相手の主張

の2つから試合が進んでいく。

マンU 側の主張としては

ポグバは左IHがベストポジション、出来るだけ前で使いたい。

マクトミネイはどこでも守れ、よく走れるしデカイ。

次にバルサの主張を見ると

メッシは下がったり中央へ行ったりフリーマンな存在で右に張り続けることは少ない。

右SBのセメドはその分高い位置をとる。

左サイドではコウチーニョがおり、スタートポジションは前に残る形。

そこにアラバのサポートで攻撃をしていく。

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マクトミネイサイド

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ポグバサイド

図にするとこんな感じで右WBのヤングの方がコウチーニョを見る分下がり気味になる結果マクトミネイは出て行く。

左サイドではメッシが中に行くのでショーはポジションを守ることができる

→ダロットはよりセメドのマークに徹することができる

→ポグバを押し出せる。

まぁ考えすぎ感は多分にある。

テアシュテーゲンが持った時やバルサが低い位置で回している時のマンUの同数の守備

押し込むことができた最大の理由と思われるのが最終ラインでの同数を許容し勇気を持って前に出たことと、対するバルベルデがポゼッションに拘らなかったことだろう。

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同数アタック

前線が同数でプレスをすることによるリスクはマークのズレであったりするが

気合いマンツーマンにすることでリスクを解消するという策であった。

ロングボールではメッシとコウチーニョは生きず、スアレススモーリングで対応と割り切った采配である。リスク管理としてはフレッジとマクトミネイのカバーリングスアレスにも自由にプレーさせない。バルサのIHやWGが裏に飛び出さないことも合間って抜け出しでピンチになることも少なく流れを取り戻した大きな一手である。

バルサの守備とフレッジと2トップ

だんだんとボールを持てる容易になってきたマンUはフリーになりやすいフレッジを起点にボールを保持していく。

なぜフレッジがフリーなのかというとバルサの守備に起因しそうであった。

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マンUのボール保持とバルサの守備

メッシが右でカウンターに備え、ラキティッチが右SHになると中央で枚数が足らずフレッジがフリーになりやすくなっていた。

そこからボールを動かしつつ2トップがサイドに流れることで起点となり攻撃していくマンUである。

しかしここで立ちふさがるのが本日絶好調のピケさんで的確なスライディングで攻撃を防いでおり、マンUとしてもラスト25mの崩しに精度を欠きなかなかチャンスを作れず。

一番何かしそうなのはポグバであったが守備にも走り回ったためだんだんと存在感を失っていった。

あとマンUとしてはリンデロフのビルドアップのまずさもあり、そこからハメられてしまうことが多いのも厳しい試合になってしまった要因である。

ビルドアップに長けたショーの側にはメッシがおりどうしてもリンデロフサイドにボールがいってしまいハマる場面が多い。

後半も引き続きペースを握ったマンUであったがチャンスを作れずに時間が過ぎていく。もともと前線に負担があるシステムなので徐々に運動量が落ちバルサがボール保持をして押し込んでいく展開が増えていく。

仮説2 バルベルデの狙い

またしても仮説

25分〜60分ぐらいはバルセロナはある程度マンUにボールを持たれることを許容していたのだがその理由を考えていこう。

まずマンU側から。

マンUの攻撃で警戒すべきはカウンターであろう。ルカク、ラッシュフォード共にデカくて早い選手である。キープレーヤーであるポグバもオープンスペースからのドリブルに魅力のある選手である。

対するバルセロナはそのスタイル故にカウンター時の守備に不安がある。

以前では『ボールを回すことでディフェンスする』という姿勢でボール保持と前からガンガンプレスがメインであったが、近年はバルサ自身がカウンターすることも増えたのでボールを離すことも増えており以前よりはセット守備は強くなっている。

これらから変に前からプレスして剥がされたり、前にイケイケになってカウンターを食うよりは引こうという判断になったのではないだろうか。

ほんとの所はわからないがバルサの面々はセット守備も大丈夫そうであったし、強引につなぎまくる姿勢もなかった様には感じられた。 

もちろん基本はボール保持ではあるが。

 両監督の采配と躍動するセルジロベルト

58分ルカク ⇆ マルシャル

マルシャルはそのまま2トップに。

66分アルトゥール、コウチーニョ⇆ セルジロベルト、ビダルと変更する。

ビダルは左に入り右IHにセルジ。

ここのあたりからバルサが攻めていく場面が多くなるのだがその理由としてはセルジロベルトの役割が大きく関わっている。

セルジロベルトのプレーは大まかに二つで

  • ボールを持つと相手を引きつけてパス、もしくは簡単に繋ぐ
  • メッシが引いた裏へ飛び出す

ショーがよりメッシにタイトにプレスに行く中で前半にはなかった抜け出しからチャンスを作っていく。(ラキティッチは守備を考えていたのだとは思うが)

セルジの潤滑油的な働きでよりボールが回っていくバルサ

ダロット⇆リンガード そのまま左に入る。

これで4−4−2っぽくなるマンU

バルサはボールを回しながら時間を潰していくも、ホームの声援を受けるマンUが最後の猛攻を仕掛けていく。

83分の決定機にはピケのスライディングで防ぎその後のクロスの雨を耐え切ったバルサが敵地で戦勝を収めた。

感想と展望

オールドトラフォードでのマンUはやっぱり強いなという印象。

5−3−2からのマンツーマンは見ていて気持ちのいいものであった。

3センターは愚直に役割をこなしたがポグバは徐々にトーンダウンした印象である。まぁこんなに走るポグバは初めて見たが。

ルカク疲労させた後にスピードのあるマルシャル、リンガードと好采配であったと思うが結果には結びつかず。

一方のバルセロナ、得点後に結局ほぼ決定機はなかったが(セメド→スアレスぐらい?)結局は勝利した。

右SBセメドは個人でプレスを剥がせるしパスも出せるしで以前見たときよりバルサに必要な人材となっていた。セルジは本当にいい選手でもっと使われないかな。

展望としてはバルベルデがどれくらいボール保持に拘るのかが気になる所かと。

仮説でも述べたのだがマンUがボール保持したときの守備の耐久計算をどう考えているのか、保持させたのかせれたのかあたりが見れるといいな。

FIn