PL マンチェスターシティ対リバプール 決戦の地はエティハド
首位リバプールと勝ち点差7で追う2位マンチェスターシティ対戦。スタジアムはシティのホームエティハド。
いわゆる6ポイントマッチでこの後のプレミアの覇権争いの行方を左右するビックマッチであろう。
前節はアーセナルを粉砕したリバポ、3トップがエグくカウンターの権化のクロップ監督。
対するは自身が主導権を握る戦いしかしないペップのシティ、前節はサウサンプトンに勝利している。フェルナンジーニョの復帰が大きい模様で、Bシウバが好調な感じ。
メンバーは以下
シティは左SBにラポルトを起用、メンディとデルフが使えずジンチェンコは前節致命的なミスをしたので使えずと妥当な采配か。
サネが入り、マフレズが外れている。CBはコンパニ御大が入る。
リバプールはベストメンバーかと。3トップは相変わらず強烈、控えも揃ってきており充実を見せる。
外的要因がピッチに与える影響とか
プロの試合の、それもリーグ戦において1試合が独立していることはほとんどなく(開幕戦と消化試合ぐらい?)基本的にはそれまでのリーグの結果の影響を引きずりながらゲームが行われる。極端な例だが日本対ポーランドのように負けていてもオッケーな状況すら起きうる。
前述した通り勝ち点差が7開いており、しかもエティハドということでリバプール的には引分けでもオッケーというゲームだった気がする。
対するシティは絶対に勝ちたいが負けるとほぼゲームオーバーなのでそこまでリスクを冒したくはない、というところだろうか。
両チームの思惑やら狙いやらがかみ合った前半から見ていこう。
シティのポゼッション位置とリバポのプレス(試合序盤)
キーパーを使いながらボールを保持し攻撃をしていくシティとプレスからのショートカウンターが最大の狙いのリバポ。
リバポの3トップは前回対戦やナポリ戦のようにペナルティエリアやキーパーまでプレスをかけることはせず、パス回しに合わせて徐々にプレスの網を狭めていく形。
フェルミーノはCBに掛けるよりはフェルナンジーニョへのコースを切りながらプレスし、WGは外のSB切りでプレスをかけていく。
プレスが弱いわけではないのでシティは簡単にはパスを回せるわけではなく、試合序盤はIHやヘンダーソンも機を見てプレスにいき強度やテンションの高い試合となっていった。
シティはBシウバが降りてボールを回したりするも、リスクを負いたくないシティはロングボールを左右に振りながら前進、その分中盤では中々ボールは回らなかった。
激しい試合展開のなか存在感を示すのはフェルナンジーニョ、危険な位置を察知してボールを狩れるのでトランジションでそこまでリバポにやられなかった印象。
そんな中でも17分中盤で上手くプレスを交わしたサラーがフェルミーノとワンツーしマネへスルーパス、マネのシュートはポスト直撃でクリアがエデルソンに当たりあわやオウンゴールも何とか回避。
リバポの攻めとシティの守備
前半はそこまで数は多くないがリバポがボールを持ったときのシティの守備を見ていく。一枚のIHは必ず1列上がりCBに当たる。もう一枚はアンカーについて
4-3-1-2の形でプレスをするシティ、3の両サイドがサネとスターリングで怪しそうなの形。
SBにボールを出されてIHが絡むときに逆サイドのWG(サネスターリング)があまり間に合っておらず危ないのだが、フェルナンジーニョのカバーで何とかしていたのは計算通りなのだろうか。
この時のベルナルドシウバの運動量は異常、CBが持つとほぼ全てプレスに行くので恐ろしかったぜ!
ペップがちょくちょく行なっているこのシステムはあまり上手くいっている印象はないがそこまでつないでこないリバプールには有効だったのかもしれない。
リバプールのビルドアップは
- SBからの斜めのパス
- フィルミーノの列を降りる動き
の二つが基本線
右SBのアーノルドはセンスを感じさせる斜めの楔のパスでビルドアップに貢献し、フェルミーノがフェルナンジーニョの周りをうろうろすることでいH受けるのを助けたり、自身が受けてさばいていた。
またロバートソンから逆サイドのアーノルドへのサイドチェンジもアクセントとなっていた。
サラーの裏へのロングボールが少なかったのは意外だったが。
アグエロとスターリングとIHの仕組み
徐々に試合が落ち着きはじめボールを保持する位置がやや高くなってくるシティ、
- アグエロのポストワーク
Dシルバの調子が悪くロストが多いなかでアグエロが上手くボールを引き出しており、
主に左のハーフスペース付近にIHと連動しながら降りてボールを捌き攻撃を進めていた。
- スターリングのタメ
右サイドではスターリングがロングボールで抜け出したり、ハーフスペースでパスを受けることで時間を作り、ドリブルやパスでボールを落ち着けることに一役買っていた。
- IHのお仕事
シティはIHの仕事は幅広く動いてボールを受けることなのだが、Dシルバはリバポの中盤の背後を狙うようにポジショニングし、Bシウバは降りることで相手中盤の前で受けることが多い。Bシウバは叩いてから必ず動き、シルバもSBへ抜け出したりと突破口を探すシティであった。
シティの初シュートが25分と中々攻撃が上手くいかないまでもなんとかボールは保持していたシティ。
40分天下のアグエロさんのゴラッソで先制する。アグエロのニア上は本当に上手い。アシストはベルナルドシウバでこぼれ球を上手く拾ってからいい反応であった。
その後若干シティの重心が下がるもそこまでピンチはなく前半を1-0で終える。
点差がピッチに与える影響とか(後半)
前半に比べてSBの位置が高くなっていたように感じるリバポ。
両SBが上がり攻撃に厚みを持たせていく。
45分~55分まではシティに支配率が60パーセントとボール保持しながら進めていく。
リバポの選手交代とフォーメーションチェンジ(55分)
ミルナー⇆ファビーニョ と交代しワイナルダムが左にでてフェルミーノがトップ下サラーがワントップ、マネが右になり、ヘンダーソンとファビーニョのダブルボランチに変更する。
この変更には個人的な仮説があり
- CBとアンカーの三枚に同数でシティがプレスしてくるので4枚に増やし自陣のビルドアップの安定
- 両SBの攻撃参加のリスクを減らし、どちらも上がる攻撃をより増やす。
SB間のロングパスしたりしながら試合を進めていき、64分アーノルドからロバートソンへのロングパスから折り返してフェルミーノが決めて同点に。
大外視野リセットの定番の形。
Dシルバ⇔ギュンドアン ギュンドアンはシルバよりは低い位置でプレーし。シティも4-2-3-1と変更の模様。
狙いは枚数調整かなとも思ったり。
ただシルバの調子が悪そうだったゆえの交代である気もする。
70分エデルソンのクリアを拾ったダニーロからスターリングに縦パスが入り、サネへとつなぎゲット。
ポジトラからの綺麗な速攻、しっかり繋ぐエデルソンに、起用に答えたダニーロと取った後も蹴らない意識が大切だなと改めて教えてくれるゴール。スターリングのハーフスペース受け、アグエロの釣る動き、サネのシュートも見事。
最終盤の攻防
改めて、試合ではリーグの勝ち点差と点差というパラメータ(変数)から主にピッチでどう振る舞うのかが決定される。
- シティは引分けでもキツい
- リバポは引分けでOK
この状況からリバポのシャキリ投入のタイミングやどれくらい前がかりになるのか、対するシティはプレーの仕方プレスや位置DFラインの高さが決まっていく。
シティに単純なクリアが増え、マネ⇔シャキリの交代が実行される。
ワイナルダムを残してバランスを取り、追加点を与えないようにしながらゴールを目指すリバポ。
前プレを強めるリバポに対してカウンターでチャンスを作るシティ。80分ごろにはシティ全員下がる場面すら発生していた。
リバポはアーノルドを起点に攻め込んでいくも崩しきれず、スターリングのカウンターからアグエロの決定機。
85分 ラポルト⇔ウォーカー 最初は左に入るもやりにくかったのか右に移っていた。
ギュンドアンはかなり高い位置までマークを追っていくのは指示通りなのだろうか、スペースを開けていたような気もするが、引きすぎるのを嫌ったのかもしれない。
アディショナルタイムではダイクを上げパワープレーにこのあたりは戦術もクソもない模様。放り込みまくるリバプールと15試合分ぐらいクリアをしまくるシティ。
なんとか逃げ切って2-1で終了。面白くなるプレミアであった。
雑感とか
試合の強度とプレーの質、監督の采配、バイブスと今シーズン屈指のベストバウトであった。シティの勝因は結局フェルナンジーニョでリバポ得意のトランジションを防ぎ切ったことであろう。ナポリ戦やアーセナル戦のように中盤中央からの速攻を見られなかった。個々で見ても前述のフェルナンジーニョ、ボールを運びカウンター定位置攻撃どちらも行けるスターリング、ボールを受け続けゴールも決めたアグエロ、無限に走る(脅威の13.7Km)Bシウバ、要所で締めたコンパニとそれぞれの役割を全うしていた。
リバポはサラーが不発で3トップは中々仕事が出来ず。アーノルドのパスの先のアイデアが少なかった。シャキリはもう少し早くてもよかったのかもしれないが結果論かな。
ポジトラを封じられると中盤の選手のキャラクター上どうしても手詰まりになってしまうが、シーズンを通して「戦略」としてはある程度捨てる計算なのかもしれない。
お腹いっぱいの試合。
fin