理系院生徒然草

理系院生の試合備忘録

サッカーのマッチレポ

チャンピオンズリーグ バルセロナVSマンチェスターU  バルベルデの策なのか否か

チャンピオンズリーグもベスト8と佳境を迎えており非常に注目である。

4カードの中から今回はバルサマンUを見て行こう。

このカードはチャンピオンズリーグの決勝が印象的でどちらもバルサが勝っている。

ホームのオールドトラッフォードマンUはどのように戦うのか。

一方のバルセロナ、2年連続でベスト8敗退とそろそろCLを奪還したいところ。ほぼリーガを手中に収めていることが吉と出るか凶と出るか。

メンバーはこちら

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メンバー

マンUはおそらく5バックと2トップ、中盤にポグバが戻りアンカーにフレッジが入る。

バルサは3トップにコウチーニョを起用。

中盤も選択肢があるなかでIHはラキティッチとアルトゥールが入る。

ボールを回したいのかなというメンツ。

 先制までの両者の動きとか

試合開始は戦前の予想の通りバルセロナがボールを保持しマンUが守る展開になった。

まずはマンUの守備の仕組みから見ていこう。

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マンU引いた守備

基本はマンツーマンの守備

バルサにボールを保持されるもライン間を使わせない意識が強いマンUは最終ラインの高さが目立っていた。最終ラインを高くすることで中盤との間のスペースを使わせない。

所謂圧縮であるが、最終ラインを押しあげて圧縮するのはレアな形。

これはバルサに裏抜けの選手が少ないことを見通しての策なのかもしれない。このメンツだとスアレスを警戒すれば大丈夫と判断したのだろう。

バルサは中央にいるメッシを中心にボールを動かすことで隙を伺う。やり直すパスも多くマンUが綻びを見せると突く感じ。

前半11分横パスの連続からメッシが一旦は足元で受ける動きをしてショーを引きつけた後に最終ラインの裏へ猛ダッシュしボールを引き出す。そのメッシのクロスをスアレスが合わせ結果オウンゴールバルサが先制する。メッシのオフザボールのいい動きと見逃さなかったブスケツの好プレーであった。

ここでバルサのビルドアップも見ておく。

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ビルドアップ

マンUが2トップだとわかったバルサは人数調整にブスケツ(時々ラキティッチ)がCBの間に落ち3枚で前進を図る(サリー)

後ろの3枚でボールを動かしながらIHの二人(もしくはブスケツ)は2トップの間に顔を出しながらボールを前進させていく。

狙いとしてはボールを動かして2トップ及び3センターを動かすことだろう。

2トップのプレスに対して以下のような中盤の受け方で状況を打開していく。

人に対してスペースが過剰なため3センターの脇というどうしても空いてしまう箇所を狙う感じ。

2トップ+3センターに対するビルドアップの方法としては

  1. 2トップか3センターの脇のエリアから前進
  2. ボールを動かすことでスライドのズレを作る
  3. 逆サイドにロングボールで展開
  4. 2トップの間で受ける

などが挙げられるがこの試合で見られたものをいくつか紹介していく。

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ボールを動かす

分類では1と3、4の合わせ技。

全員でやることが共有されているのでプレスにも上手く対応できる。

この試合では2はあまり見れなかった。

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IHの脇

あなたはどこまで付いてきますか?と言わんばかりのバックステップ。

付いて行きすぎるとアンカー〜IH間が空きメッシやスアレスへのパスコースができそう。

ビルドアップの最終目標はいい形でボールをメッシに渡すことっぽい。

ビルドアップ後の攻め方はこんなのである。

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システムメッシ

まぁメッシはもっと前でボールを持って欲しい所ではある。

攻撃システムに加えて素早いネガトラによりペースを握っていく。スアレスの切り替えは素晴らしくメッシもこういうビックマッチでは守備をそこそこ頑張る。

先制後もボールを保持して攻めるバルセロナだが徐々にマンUが押し返していく。

マンUはなぜ押し返せたのか

20分ぐらいからマンUが押し返し始め徐々にボールを持てるようになっていった。

理由としてはビルドアップに対して2トップが引くのではなく勇気を持ってプレスにいったことそしてそれを支えた中盤の運動量である。

マンUの中盤トリオの運動量はチームでも一番多く多局面に関わっていた。

ポグバは前目の位置でのプレス、マクトミネイは空いた所を穴埋め、フレッジは後ろのカバーもするなど種類も多岐にわたる。

第一の手は3枚のビルドアップ隊に対しての同数プレスである。

 IH(主にポグバ)を押し出すことによってパスコースを制限しボールを蹴らせるもしくはハメる。

3枚の内一枚を押し出すのは相当な運動量がいるがポグバとマクトミネイはこのタスクを愚直に行なっていた。

タスク訳としては降りる選手に付いていくのは基本ポグバであり、マクトミネイはバルサのIHを見つつヤングが間に合わない時はアラバに行く。

仮説

 ちょっくら寄り道でこのポグバとマクトミネイの役割分けに付いて考えていく

戦術とは相手との対話なので

  • 自分達の主張
  • 相手の主張

の2つから試合が進んでいく。

マンU 側の主張としては

ポグバは左IHがベストポジション、出来るだけ前で使いたい。

マクトミネイはどこでも守れ、よく走れるしデカイ。

次にバルサの主張を見ると

メッシは下がったり中央へ行ったりフリーマンな存在で右に張り続けることは少ない。

右SBのセメドはその分高い位置をとる。

左サイドではコウチーニョがおり、スタートポジションは前に残る形。

そこにアラバのサポートで攻撃をしていく。

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マクトミネイサイド

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ポグバサイド

図にするとこんな感じで右WBのヤングの方がコウチーニョを見る分下がり気味になる結果マクトミネイは出て行く。

左サイドではメッシが中に行くのでショーはポジションを守ることができる

→ダロットはよりセメドのマークに徹することができる

→ポグバを押し出せる。

まぁ考えすぎ感は多分にある。

テアシュテーゲンが持った時やバルサが低い位置で回している時のマンUの同数の守備

押し込むことができた最大の理由と思われるのが最終ラインでの同数を許容し勇気を持って前に出たことと、対するバルベルデがポゼッションに拘らなかったことだろう。

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同数アタック

前線が同数でプレスをすることによるリスクはマークのズレであったりするが

気合いマンツーマンにすることでリスクを解消するという策であった。

ロングボールではメッシとコウチーニョは生きず、スアレススモーリングで対応と割り切った采配である。リスク管理としてはフレッジとマクトミネイのカバーリングスアレスにも自由にプレーさせない。バルサのIHやWGが裏に飛び出さないことも合間って抜け出しでピンチになることも少なく流れを取り戻した大きな一手である。

バルサの守備とフレッジと2トップ

だんだんとボールを持てる容易になってきたマンUはフリーになりやすいフレッジを起点にボールを保持していく。

なぜフレッジがフリーなのかというとバルサの守備に起因しそうであった。

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マンUのボール保持とバルサの守備

メッシが右でカウンターに備え、ラキティッチが右SHになると中央で枚数が足らずフレッジがフリーになりやすくなっていた。

そこからボールを動かしつつ2トップがサイドに流れることで起点となり攻撃していくマンUである。

しかしここで立ちふさがるのが本日絶好調のピケさんで的確なスライディングで攻撃を防いでおり、マンUとしてもラスト25mの崩しに精度を欠きなかなかチャンスを作れず。

一番何かしそうなのはポグバであったが守備にも走り回ったためだんだんと存在感を失っていった。

あとマンUとしてはリンデロフのビルドアップのまずさもあり、そこからハメられてしまうことが多いのも厳しい試合になってしまった要因である。

ビルドアップに長けたショーの側にはメッシがおりどうしてもリンデロフサイドにボールがいってしまいハマる場面が多い。

後半も引き続きペースを握ったマンUであったがチャンスを作れずに時間が過ぎていく。もともと前線に負担があるシステムなので徐々に運動量が落ちバルサがボール保持をして押し込んでいく展開が増えていく。

仮説2 バルベルデの狙い

またしても仮説

25分〜60分ぐらいはバルセロナはある程度マンUにボールを持たれることを許容していたのだがその理由を考えていこう。

まずマンU側から。

マンUの攻撃で警戒すべきはカウンターであろう。ルカク、ラッシュフォード共にデカくて早い選手である。キープレーヤーであるポグバもオープンスペースからのドリブルに魅力のある選手である。

対するバルセロナはそのスタイル故にカウンター時の守備に不安がある。

以前では『ボールを回すことでディフェンスする』という姿勢でボール保持と前からガンガンプレスがメインであったが、近年はバルサ自身がカウンターすることも増えたのでボールを離すことも増えており以前よりはセット守備は強くなっている。

これらから変に前からプレスして剥がされたり、前にイケイケになってカウンターを食うよりは引こうという判断になったのではないだろうか。

ほんとの所はわからないがバルサの面々はセット守備も大丈夫そうであったし、強引につなぎまくる姿勢もなかった様には感じられた。 

もちろん基本はボール保持ではあるが。

 両監督の采配と躍動するセルジロベルト

58分ルカク ⇆ マルシャル

マルシャルはそのまま2トップに。

66分アルトゥール、コウチーニョ⇆ セルジロベルト、ビダルと変更する。

ビダルは左に入り右IHにセルジ。

ここのあたりからバルサが攻めていく場面が多くなるのだがその理由としてはセルジロベルトの役割が大きく関わっている。

セルジロベルトのプレーは大まかに二つで

  • ボールを持つと相手を引きつけてパス、もしくは簡単に繋ぐ
  • メッシが引いた裏へ飛び出す

ショーがよりメッシにタイトにプレスに行く中で前半にはなかった抜け出しからチャンスを作っていく。(ラキティッチは守備を考えていたのだとは思うが)

セルジの潤滑油的な働きでよりボールが回っていくバルサ

ダロット⇆リンガード そのまま左に入る。

これで4−4−2っぽくなるマンU

バルサはボールを回しながら時間を潰していくも、ホームの声援を受けるマンUが最後の猛攻を仕掛けていく。

83分の決定機にはピケのスライディングで防ぎその後のクロスの雨を耐え切ったバルサが敵地で戦勝を収めた。

感想と展望

オールドトラフォードでのマンUはやっぱり強いなという印象。

5−3−2からのマンツーマンは見ていて気持ちのいいものであった。

3センターは愚直に役割をこなしたがポグバは徐々にトーンダウンした印象である。まぁこんなに走るポグバは初めて見たが。

ルカク疲労させた後にスピードのあるマルシャル、リンガードと好采配であったと思うが結果には結びつかず。

一方のバルセロナ、得点後に結局ほぼ決定機はなかったが(セメド→スアレスぐらい?)結局は勝利した。

右SBセメドは個人でプレスを剥がせるしパスも出せるしで以前見たときよりバルサに必要な人材となっていた。セルジは本当にいい選手でもっと使われないかな。

展望としてはバルベルデがどれくらいボール保持に拘るのかが気になる所かと。

仮説でも述べたのだがマンUがボール保持したときの守備の耐久計算をどう考えているのか、保持させたのかせれたのかあたりが見れるといいな。

FIn

 

 

 

 

 

 

 

 

リーガ バルセロナ対ビジャレアル

お久しぶりのマッチレポです。

久々すぎて書き方が怪しいですが頑張って参ります。

カソルラの復活で注目を浴びるも降格圏から抜け出せないビジャレアルどうやら失点が多い模様。

対するはほぼリーガを手中に納めた感のあるバルセロナ。目標は悲願のCL優勝であろう。メンバーはこちら。

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メンバー

 ビジャレアルもいつの間にか知らない選手が増えてしまった。

水曜開催とあってターンオーバーしているバルサ。メッシ抜きでどのような戦いになるだろうか。

駆け引きとゴールと

お互いにボールを持ちたそうなチームであるが、開始と共に仕掛けたのはビジャレアルであった。相手のビルドアップに対して前プレを敢行して行く。

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ビジャレアルの守備

FWの二人はGKに下げられてもそのまま当たりに行く。イボーラ(時々モルラネス)がアンカーのブスケツにもマークに行き簡単には繋がせない姿勢を見せるビジャレアル

このプレスに対するバルセロナの対応はさすがに蹴っ飛ばすことはしないが、以前のように繋いで剥がすというよりは前線に早く届ける選択が目立つ。またラングレからスアレスへの縦パスは先制の起点にもなっていた。

前線にボールを持ちたがる選手(特にWGの二人)がいるのでそこに簡単に届けることがゲームプランだったのかもしれない。

ビジャレアルとしては蹴らせれば空中戦では負けないというものだったようで、たまにテアシュテーゲンがサイドに蹴っ飛ばした時にはマイボールにできていた。

序盤(開始〜10分)ではお互いに前プレにいくため早い展開が目立つ。

ビジャレアルの序盤のキーマンはCFのトコエであった。ウムティティにフィジカルで優位に立ち、ボールを納めたりファウルを受けながらチームを前進させることに成功していた。

そんなビジャレアルに対して動きだすのはブスケツであった。

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ブスケツが降りる

所謂サリーの動き、イボーラがどこまで付いてくるのかを見ている感じであった。

また地味にポジションを落とすビダルカソルラもまたどこまで付いていくかの判断を迫られていた。

ブスケツが降りることで3枚で前進できるようになったバルセロナは両翼のマルコムとコウチーニョをうまく使いながら12分、16分と立て続けに得点する。

1点目はビジャレアルに後ろの守備の対応の不味さが伺えるものでもあった。

ここで対するバルセロナの攻撃を見ていこう。

左右非対称な攻め筋〜右サイド

面白かったのはバルセロナの右サイドの攻めで、キーマンはセルジロベルトである。

基本的に大外のレーン(というかタッチライン)にポジションをとるマルコムに対して中寄りでボールを受けるセルジ。

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セルジロベルト

狙いは5レーンの基本の列の移動と5−3−2の泣き所である中盤の3の脇のエリアの攻略であろう。

またマルコムが中に入ると大外にポジションしたりと気の利いたプレーを見せる。

ここからボールを動かし試合を動かしていく。縦に早い攻撃を好む今試合のメンバーの中ではボールを落ち着かせたりとリズムを変える役割を担っていた。

特にうまくサイドチェンジできた時には時間とスペースが与えられるエリアでありその一番の例が1点目であった。

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バルセロナの1点目

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その2

まずはラングレのいい縦パスからのスタート、ビジャレアルは前プレを敢行中。

この時WBやCBは人に当たりににいくのがビジャレアルのやり方なので、WBのガスパール、右CBのゴンザレス、CBのモリがそれぞれ対面のアルバ、コウチーニョスアレスに付く。中央のモリが出たところを左 CBのルイスがカバーに入り、ペドラサも絞っている。中盤3枚もボールサイドに寄っているので、スアレスが上手くセルジにサイドチェンジした時にはマークがいない状況が発生する。

そこでセルジが上手く持ち上がりモリのカバーに入ったルイスのとペドラサの間にスルーパスで勝負あり。

左サイド

やや機能不全感のあった左サイドである。基本は中のハーフスペースにコウチーニョが入り、大外にアルバが駆け上がるという形。そこに左サイドに流れて来るスアレスが絡。

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左サイド

問題はアルトゥールとコウチーニョのプレーエリアが被ってしまったことであろう。
二人ともにボールに触ることで調子を上げていくタイプであるがコウチーニョがアルトゥールのプレーエリアに入って来るのでアルトゥールがボールに触る回数が減ってしまいパス回しにテンポが出ず、コウチーニョバルセロナの中ではボールを持ちたがる傾向にあるためプレーが停滞してしまっていた。

ただスアレスの裏抜けでボールをすばやく前進させることはできており。コウチーニョとの連携から速攻は機能していたのでそこまで問題ではないのかもしれない。

0−2からのビジャレアル

0−2とビハインドをおってしまうも自分達がボールを持てばチャンスを作れていたビジャレアル

ボール奪回後にまずカソルラに渡すことでボール回しを安定させ、長短のパスでリズムを作りつつ2トップに渡していく。2トップはトコエカンピとチクエーゼがそれぞれウムティティとラングレに対して優位を築けておりそこから主にチャンスが生まれていく。特にチクエーゼのドリブルが素晴らしくラングレをキリキリマイにさせる高パフォーマンスを見せる。

前半でカソルラーチクエーゼで一点を返し1−2で前半が終了する。

後半も動いたのはビジャレアル

チクエーゼを守備時に右SHまで落とし5−4−1でのブロックを形成する。

チクエーゼは自身と逆サイドでバルサが持った時あまり下がらなかったがこれはカウンターを狙っていたのだろう。

ブロックを敷かれ攻撃が停滞するバルサ

特にビダルがブロックの間で受けれないのが厳しいところでアルトゥールもなかなか顔を出せずく攻めあぐねる。

するとチクエーゼのアウトサイドのパスからトコエカンピがサイドに抜け出し、クロスに見せかけてのシュートを放ち2−2となる。

後半15分に コウチーニョ⇆メッシ

その直後16分に裏抜けからイボーラがゲットし3−2。逆転に成功するビジャレアル

バルサはその後 アルトゥール、ブスケツ⇆アレニャー、ラキティッチを投入

ラキティッチがアンカーに入り右IHにアレニャー左IHにビダル

マルコムは左サイドでもタッチラインに張るスタイルは変わらず、メッシはいつもの場所右サイドのハーフスペースで受ける。

ビジャレアルはトコエカンピ⇆バッカと交代

その後カソルラの芸術的なパスからバッカが抜け出し4−2、苦しくなるバルセロナ

43分にメッシがFKを決め、48分にはCKからスアレスのゴールでバルセロナが追いつきゲームセット。

感想

ビジャレアルはいいチームなのだが勿体無い引き分けとなってしまった。

最後の二失点についてはFKでは壁が少し避けてしまったり、CKでは二人で競りにいってしまいクリアしきれずと細かなミスをスーパースターは見逃さなかった感じ。

ただ印象的な選手が多くチクエーゼは個人的な発見である。

そしてレジェンドのカソルラは圧巻のプレーを披露。プレービジョンと精度が素晴らしく左足も右足同様に使えることの大切さを教えてくれる。

一方のバルセロナコウチーニョは少し苦しいのかなという感じ。アルバをもう少し活かせないとなぁと。

マルコムはボールを持てばいいプレーなのだがどうなるか。

やっぱりメッシは神でしたというゲームだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

CL ユベントス対アトレティコ アレグッリの策と2点差とスーパースター

1stLegはホームのアトレティコが2-0で制しており、アウェイゴールも奪われておらずかなりアトレティコ有利な感じ。

一方のユベントスロナウドを加えた今季は是が非でもビッグイヤーが欲しいところ。

条件がきついがそれでもホームでこの一戦をできることと、ロナウドが居ることが主張点か。

メンバーはこちら。

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メンバー

アトレティコは数人怪我で欠いている。

一方のユーべは左SBの選手はCL初出場以外はいつものメンバー。

今回はディバラではなくベルナルスキがスタメンに。

引きすぎたのか、押し込まれたのか

開始からボールを保持し盛大に攻めまくるユベントス、それを後押しする観客と序盤はユベントス優位で試合が進んでいく。観客ではなくサポーターであることをわからせてくれるユベントスサポーターの歓声は胸に来るものがある。

ユベントスの攻撃とアトレティコの守備から見ていく

アトレティコはいつもの4-4-2でシメオネ親父秘伝の一味。

ラインの整い方とスライドの速さ的確さは異常である。狙いとしてはこんなところか

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アトレティコの守備 圧縮

本当に図のようにラインが整列するのは圧巻である。

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ボールサイドに人数をかける

ボール奪取の一例、ボールサイドに人をかけて奪う。逆サイドはスライドする。

逆サイドが空いているように見えるが激しいプレスを掛ければ逆サイドには展開できないでしょという構造となっている。

しかしいつもとは違ってこのような主体的なプレスは殆どできず終始ユベントスに押し込まれる格好になっていた。

ここでのポイントはアトレティコが自ら引いたのか(引いたとしたらどこまで押し込まれることを許容するのか)それともユーベが押し込んだのかである。

個人的にはユーベ側7割アトレティコ3割ぐらいだと大まかに見ている。

アトレティコは多分引いてカウンターのつもりだったとは思うけど、想定した以上にユーベの圧力が強かったのだろう。

そんなユーベの策を見ていく。

ビルドアップとか

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ビルドアップ

ビルドアップは4枚(ギャンが落ちて3CBとピヤニッチ)で相手の第一プレッシャーラインのプレス部隊は2枚なので余裕を持って前進することが出来ていた。

ピヤニッチが受けてサイドに展開したり2トップの脇からサイドのWBやロナウドとベルナルデスキに付ける形が多く、中央には中々ボールは通せない。

アトレティコの2トップは平行のポジションを取っており、ピヤニッチをマンマークはしていなかった。

アトレティコのSHはサイドCBに対してプレスに行きたそうではあったが基本は中優先のディフェンス。

前述の通り圧縮を目指すアトレティコに対してユーベはボヌッチキエッリーニ、ピヤニッチのサイドチェンジを使いながらピッチを広く使う。

地味に体力を削られるのが非常にきっつい。

ちなみにボヌッチが抜群の精度を誇っており、左サイドのスピノゾーラがガンガン仕掛けていた。

崩しとボールロスト後の対応の差

基点になるのはあくまでサイド、また押し込んでからのネガトラが素早く再攻撃が可能になっていた。

図はこんな感じ

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崩し編

 

ここに見ていくとSBの二人は大外でピッチを広げる。アトレティコはここはある程度捨てており、クロスにはバッチ来いの姿勢。ならばと左サイドのスピノゾーラはガンガン仕掛け序盤のユーべを牽引していた。

中盤ではマテュイディの裏抜けが時折見られるも、攻め手というよりはロナウドのカットインのスペースを作る感じ。あとCBを引っ張り出すとか。

ベルナルデスキはライン間が圧縮されているので背負って散らす場面が多く、ポジションを色々と変えながらボールを受けて基点になる。

背負えるというのがディバラではなかった理由かもしれない。

マンジュキッチは1stLegと比べて中央で待機する場面が多く結果的にはマークを引き付ける役割を果たしていた。そしてもう一枚のロナウドがサイドから斜めから走り込んで強襲という形。

中央での二人の関係がアレグッリの仕込みだったのかなと思う。

アトレティコとしては中央でのヘディング勝負では負けないという計算だったのだと思う。その変わりに中央を閉めることでライン間やロナウドとベルナルデスキのカットインシュートはほぼやらせていなかった。

ゲームが動いたのは26分やや怪しげな判定の後のトランジッションでベルナルデスキからロナウドのヘッドでゲット。

たぶんこれがしたかったのかなと、CBをマンジュキッチが消して大外のSBとロナウドを競らせる。ベルナルデスキのボールも見事であった。

アトレティコの誤算?

その後も攻め立てるユベントス、ボールロスト後の守備の気迫がエグイ。

アトレティコとしてはボールを奪った後に取り返されることが多すぎたのが誤算であろう。特にルマルは試合に入り切れていないようだったので軽率なボールロストを連発しており非常に切なかった。

ピヤニッチもネガトラでは突っ込んでくるのでかわせばスペースはあるのだが中々かわせず。

モラタがキエッリーニボヌッチにフィジカルで勝てなかったので基点が作れず、グリーズマンも体が重そうであったため押し込まれ続けてしまった。

またカウンターに行かずボールを回して時間を創ろうとしていたがユベントスの圧力の前にミスを連発してしまっていたので苦しい展開が続く。これならいっそカウンターしたほうがよかったかもしれない。あくまで結果論だが。

1-0で前半を終える

後半開始早々に試合が動く、カンセロのクロスからヒメネスとゴディンの間に入ったロナウドがゴール。ゴールラインテクノロジーが無ければ絶対わからなかったであろう得点。クロスのタイミングと落ちどころが秀逸かつロナウドさんが見事。

アトレティコは再び計算していない所からの失点。またほんまにゴールか?という感じでいやな点の奪われ方であった。

これで振り出しに戻ったゲーム。

スコアを確認するとユーベは3点差以上の勝利が必要でアトレティコは1点でも取ればだいぶ有利になる。つまりアトレティコのほうがまだやや有利と言える。

流れを変えるべくルマル⇔コレア の変更でコケが左へ行き右に入るコレア。

前半も同じなのだがマテュイディのプレスが異常であり高強度のプレスやプレスバックを連発しやっぱりボールを回せないアトレティコである。

やや試合が膠着してきた65分 スピノゾーラ⇔ディバラ アレグッリ強気の采配

アトレティコボランチのサウールがサイドCBにややプレスに行くなどし始めるもややガス欠感があり状況はあまり変わらない。

ユベントスはカンセロが左SBに入りギャンが右SBへベルナルデスキとディバラはSHへ

76分アリアス⇔ビトーロ サウールが左SBにビトーロが左SHにコケがセンターにそれぞれ入る。

お互いにファウルが増えセットプレー増えていくもアトレティコは決定的なチャンスは作れず。

マンジュキッチ⇔キーン 新星のストライカーらしい。

83分ベルナルデスキの突破からコレアがPKを献上し決めるロナウド

切ないアトレティコはその後もゴールを奪えず大逆転のユベントスであった。

感想

結局はロナウドを活かしきったアレグッリの策がハマったといえる。そして異常な勝負強さを誇るロナウド

戦術以上にユベントスの面々に気迫を注入したアレグッリはモチベータ―としてもかなり優秀。彼らの表情は2点差のそれではなく勝てるという確信に満ちていた。

地元の新聞をもりようしながらスタジアムを盛り上げた戦略面も秀逸。

ベルナルデスキのフリーマンも非常によく納得の采配。

アトレティコとしては前半のボディブローが効いていたのか後半は反撃が出来ず。

シメオネのゲームプランはかなり聞いてみたい所である。

ボール奪取後の動きがややバラバラだったのかも。ルマルが批判されているのがなんとなくわかるゲームでもあった。

一番の勝者はマロッタSDを切ってでもロナウドを獲得したアニエッリさんかもしれない。

ビックイヤーは誰の手に?

FIN

 

 

 

Jリーグ第3節 ヴィッセル神戸対ベガルタ仙台

開幕戦を落とすも前節ビジャのゴールで1-0の勝利を果たしたヴィッセル神戸、ポゼッションやネガトラの守備など徐々にチームが固まりつつある神戸。

対するは2戦未だ勝ちがない仙台。

 

メンバーはこちら

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メンバー

 フォーメーションなんて電話番号だ!というリージョの言葉のように定義しづらい神戸のフォーメーションである。古橋がわりとあっちこっちに動く動く。 

噛み合わせに注目していきたい。

 

ゲームを支配した神戸の策とか仙台の守備とか噛み合わせとか

この試合でボールを保持したのは大方の予想通り神戸であった。

まずは仙台の守備を見ながら神戸のビルドアップを見ていく。

開始直後(~10分ぐらい)の配置と噛み合わせはこんな感じ。

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仙台の守備

仙台は前からプレスはせずブロックを組んでのカウンターが一番の狙いっぽい。

最終ラインは高くコンパクトな陣形。

仙台の守備でまず大事そうなのは第一プレッシャーラインにいるシャドーの二人(阿部と石原)の位置である。

神戸のCBがボールを保持しているときは中寄りの位置に立ちハーフスペースを埋めるような動きをし、神戸が前進してくるとサイドハーフの位置に下がり西と初瀬を牽制する役割になっていた。

SBには激しくプレスには行かず、初瀬や西に対してはWBの二人が対応しその動きに対してCBがスライドする形。5-4-1ディフェンスの強みであるサイドCBが比較的自由に動ける仕組みを活かしている。

 このWBのプレスは高さと味方の位置によって行くか行かないかを判断しており、WBが出れないときにはシャドーが寄せに行く。このときはそこまで激しいプレスではなく、あくまで前進させないことが目的。

恐らくWBの位置で奪い神戸のSBの上がったスペースをシャドーが活用しカウンターがしたかったのかなと。

対する神戸のボール保持を見ていく。基本線はCBとボランチの2-2プラスフリーマンとしてイニエスタポドルスキが絡む形。

大外の幅取り部隊は初瀬と西の両SBが担う。

第一プレッシャーラインの攻略について

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神戸の攻撃

仙台は神戸のボール保持が低いところでは3枚(阿部石原ジャーメイン)が前に立ちコースを消しているので、2CBと2ボランチイニエスタポドルスキが絡み、数的優位を作りながら前進していく。

三田と山口がCFの脇(シャドーとの間)で受けてボールを前進しイニエスタポドルスキにボールを供給していく。

前線は最終ラインと駆け引きをしており、開始10分ぐらいまでは2トップの位置から古橋が右サイドに流れて裏を狙う。そのうち左に行っていたけど。

狙いとしては仙台のスライド守備のギャップや、WBがSBに対して激しくプレスに来る裏を使うというものだろう。

マテや兵藤はポドルスキイニエスタをマークしているも、彼らが引きすぎているとどこまで付いていくのかは判断を強いられる。

多分イニエスタはこの二人がどこまで付いてくるのか見ているんだろうなと思う。

たまーにイニエスタポルディより三田山口が高い位置を取ることも。

西はおもしろいポジショニングをしており、前述の仙台の守備を踏まえて高過ぎずかといって低すぎない、つまり阿部がつくのかWBの石原がつくのか曖昧な中間ポジションに立っており崩しよりはビルドアップの出口となっている。

特に目立つのはイニエスタ

イニエスタが神戸にとってのビルドアップの出口となっているのが相当に大きい。

本来ビルドアップの出口とは人がおらずスペースがあると言う時間と空間が多い場所のに当たる。例えば大外のSB二人などは比較的フリーでボールを受けられる。

しかしイニエスタによって中央でもボールが落ち着いてしまうので仙台としては苦しい。

仙台は引き籠るとまではいかないが撤退気味の守備なので一列目はそこまでプレスに来ず、したがって第一プレッシャーラインは超えることには成功していた神戸。

崩しとか

チャンスは基本的にイニエスタから生まれていく。

左サイドでの崩しがメインで古橋やビジャと相性が良く、裏に走ればいいボールがポンポン出てくるので楽しそうである。またイニエスタと三田で引き付けてこれまたイニエスタと相性の良い初瀬のオーバーラップからもチャンスを作っていく。

 左人数をかけている分右はほぼ西一人でなかなか崩す場面はなく少し勿体ないのかも。

古橋とイニエスタの息の合い方が昨シーズンに続き異常でさすがの興国高校

また序盤の連続攻撃を可能にしていたのが神戸のネガトラ(攻→守)である。

存在感を放つのは中盤より前の日本人トリオの古橋山口三田で、相当に早いネガトラでボールを奪い返すことに成功する。また山口は一人でボールを奪えるのでこの試合はかなりいいプレーを見せていた。

神戸の守備と仙台の攻撃と

 そんな中10分でCKから先制する仙台、スコアが変化するも時間が早かったためか同じように試合を進める両チームである。

20分辺りまでは前述のように神戸が攻めることが多いが仙台も段々とボールを持てるようになっていった。

理由は試合自体が落ち着いてきたことであったり、神戸のネガトラ時に撤退を選ぶことも増えたことあたりだろう。

神戸の守備、とくに相手がボールを持つときにはかなり怪しさを見せていた。

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神戸の守備

形は4-5-1で古橋が左イニエスタが中央。

前線部隊はボールを奪いに行くが後方はついてきていないことが多く、山口と三田の背後をシャドーの二人が受けるシーンがよく見られた。

シャドーを意識すると前線の守備部隊と意図がずれる神戸のダブルボランチはかなり大変そうであった。

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仙台の攻撃

対する仙台の攻撃はシャドーとGKのキックからの展開に特徴を見せた。

シュミットは正確なフィードから局面を打開し、WBやシャドーにいいボールを供給し前からのプレスを空転させる。

シャドーの二人は守備ではタスクオーバーな2CH(三田、山口)の背後から顔を出しボールを受けてWBに展開する。

憎いのがジャーメインと仙台のダブルボランチで、良は裏への動きでCBをピンドメしシャドーの受けるスペースを創出し、兵藤とマテは攻め上がるとイニエスタとポルディはついてこないので山口がかなり困っており結果としてシャドーが空く形に。

決定機があるものの決めきれない仙台。

そんな中神戸は前述のネガトラで山口のカットから細かく繋ぎ、古橋がゲット。

イニエスタと古橋のホットラインである。

その後も仙台は攻めるもゴールは奪えず前半を終える。

後半早々にイニエスタ-古橋のホットラインからビジャでゲット。

ビジャの守備者が目線を切ったときに動きだすTHEストライカーなゴール。

後半まず見られたのが山口がCB間に落ちてボールを受ける形、勝ち越した後にいったん落ち着きたかったのだろうか。

点数が必要なので前半よりは前に出て守備をする仙台にたいし、中盤4人を中心にボールを動かす神戸。仙台は取りどころげ決めきれないのがキツイ。

62分 ジャーメイン⇔吉尾で石原がCFに。

63分山口のチェックからイニエスタが奪い、ポドルスキへ。

最後はオウンゴールで神戸が3点目。

山口の守備技術とイニエスタの技術が生んだゴールであった。

その後も上手くボールを動かしながら、古橋の裏やショートカウンターで攻める。

71分 阿部、兵藤 ⇔ 長沢と梁

長沢を使いながら攻めるもスコアは動かず。

1-3で試合を終えた。

感想

初戦からかなりの改善がみられる神戸。

1番ゴールを奪えるであろうビジャをCFに置き、裏抜け要因としての古橋の投入。

三原を外したことによる守備の問題はネガトラの徹底と前線からのプレスとそれぞれ穴埋めされており流石リージョなのだろうか。ポドルスキの役割がやや勿体ない気もするがどうだろうか。個人的にもう少しゴールに向かってほしい所。

古橋と山口と三田が地味ながらが出色の出来でそれぞれ守備と裏抜けと助っ人トリオの苦手なことをしっかりとカバーしている。特に山口の刈り取る能力に加えてたまに見せるロングフィードも正確で是非代表でも頑張ってほしい。

 そしてイニエスタ、やはり異次元である。こんなけボールを奪えないと、

「ビルドアップのどこでもドア」と勝手に命名したい。文字通り異次元である。

対する仙台は正直よくわからなかった。シャドーが外にはたいてのクロスの質がやや低くもう少し崩しが欲しいところ。

難しいな。

CL マンチェスターU対PSG 不運と決断の行方

CL16ラウンドの2ndLegである。

1stLegは2-0でPSGがアウェーでものにしており、かなりパリ有利だといえる。ただカバーニネイマールを欠きやや前線に不安が残る。

対するマンUはかなり厳しい状況もスールシャール監督就任以降は調子を上げている。

こちも中心選手のポグバが欠場し右SBも欠員。若手がいっぱいだ。

メンバーがこちら

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メンバー

パリは可変で攻守で配置を変更する。

マンUは5バックも予想されたが蓋を開けると割と古典的な4-4-2である。

攻めるパリと失点と

サッカーというゲームにおいて最も大事なのはスコアである。よってチームの戦術戦略はスコアによってその形を変えていく。大事なので何回も言います。

特にCLのトーナメントはホーム&アウェイのためやや複雑な条件になる。

パリはアウェイで2-0で勝っているので2失点までは許容できるが、3失点以上するとタイスコア時に2アウェイゴール2倍のルールによりとても大変なことに。

一方のマンUは最低でも2ゴールが必要だが、失点も許されないというかなり劣勢な感じ。

前半2分いきなり試合が動く。ケーラーのバックパスミスからルカクがゴール。

入りがやや軽くなっていたのか、かなりもったいない失点であった。

この時点でトータル2-1(PSG-マンU

マンUとしてはあと一点で少なくとも延長には持ち込め、パリからすると1点を守るには余りにも時間がありすぎる。

そこでパリは引くことなく自身のスタイルであるボール保持で以降のペースを握っていった。

 まずはユナイテッドの守備から

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マンUの守備

1点を早い時間に奪えたためか2トップは激しいプレスをかけることはなく、センターライン~自陣までリトリートしていた。プレスバックはあまりせずカウンター要因の模様。

SHはハーフスペースのシャドーの二人を見るように中のコースを消すように絞っておりWBに入るとSBと挟み込みに行くなど献身性を見せる。

DFラインはマンツーマン気味でトップに対してはしっかりと人がついていくことが多い。そのため何度か開けたスペースを使われていた。

中盤のマクトミネイとフレッジは基本迎撃部隊で2度追いすることもあるなど自陣では簡単にはボールを持たせたくないようなマンUであった。

気になったのはヤングとバイリーの関係、マークの受け渡しが曖昧でヤングが不必要に下がり過ぎていたり、ディマリアに食いついたバイリーの裏をベルナトに使われるなどしていた。

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怪しそうな所をまとめると

  • 右サイド
  • 人についていった後のスペース
  • 大外から入ってくるWBのマーク

 

パリのオフェンス策を見ていこう。

まずはビルドアップ

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ビルドアップ

相手2トップが中央に鎮座しているので脇からサイドCBが運んぶことが多く、時々ヴェラッティが脇のスペースで受ける(遠藤ロール)ことで前進、そのままWBに渡すことが多い。

その後は引くマンUに対してどのように崩していくのかが鍵となっていった。

配置はこんな感じ

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パリの攻撃

トゥヘル監督は割と自身の志向している戦術を選手に当てはめていく監督のイメージであるがこの布陣では割と選手の個性に合わせた戦術で臨んでいるようであった。

まず目立っていたのは左サイドのディマリアである。

相手の右サイドが怪しいのを感知したのか、ハーフレーンから大外レーンに流れてサイドを突破しておりバイリーを苦しめていた。

人に強い意識を持つマンUに対し裏抜けからチャンスを作り、10分にはまずマルキーニョスの裏抜けから一度戻し、再びムバッペの裏抜けから大外のベルナトがゲット。

マンUの守備が怪しげな所をしっかりと突いていくパリであった。

特にCB-SB間の裏抜けはチャンスになりそうであった。

その後もサイド突破から大外のベルナト、アウベスにマークがおらずフィニッシュまで持っていかれるマンUである。

続いてパリの守備とマンUの攻めを見ていく。

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パリの守備

パリは守備時にディマリアが少し下がり4-4-2の形へ、ネガトラをしっかりと行うことでマンUはボールを持てず、SBの裏にロングボールを蹴るぐらいしか策はなさそうであた。

しかしいい流れがずっと続くわけではないのがサッカーの面白い所。

追加点を奪えそうで奪えないパリはややイージーなミスが増えていき、その結果組織だったネガトラが行えなくなっていく、またマンUもプレスに慣れたのかポジトラで打開できることが増えていき、マンUがボールを持つ時間が長くなっていった。

個々で見るとフレッジは球離れがよく密集でもうまく躱してボールを繋いでおり、前線ではルカクがタメを作り押し上げの時間を作る。

そして29分上手くボールを繋いだマンUはラッシュフォードのミドルからルカクが押し込み2-1となるスコア。

アウェイゴールで並んだマンUはあと1点とればかなり有利になり、パリはこれ以上の失点を避けたいところ。

スールシャール決断の1手

勝ち越し後スールシャールの手は右SBのバイリーに代えてダロットを投入

怪我ではなく戦術的な交代の模様。

ヤングが右SBダロットが右SHとなり4-4-2継続のユナイテッド

膠着したまま前半を終える。

後半も同じように攻めるパリに対して4-4-2で守るマンUという構図が続く。

引き続きディマリアの突破やWB-WBの大外クロス、ライン間で受けるドラちゃん、ムバッペの裏抜けと攻めるパリ。

57分スールシャールが動く。

試合が切れたときにヤングとラッシュフォードを呼び指示し、5-4-1に変更を行う。

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変更

これはスールシャールにとっても割と賭けだったのではないだろうか、実質1点差で負けている以上失点がまず避けられない、かといって攻めなければ敗北が決まってしまう。そんな中後半始まってから10分後というタイミングであえて後ろに人を増やしたのは

  • 後半になってもパリが同じように攻めてきたことを確認
  • ホームのパリがこのあとも攻め続けるという読み
  • 攻め込ませることでカウンターで仕留める

あたりが考えだろうか。

個人的にはここがパリのホームであったことも大きい気がする。オールドトラッフォードではこの欠断は好まれなさそうだし。

そこでトゥヘルは受けて立つとばかりにヴェラッティをやや高くしして試合を決めに行く。

1トップに変更し相手の後ろの枚数の変化に合わせる論理的な采配。

また相手の変更に対してディマリアが再びハーフレーンに戻り中央を厚くするパリ。

さらにDFラインはセンターラインよりも高くし、カウンターすらさせないという布陣に移行し、相手の誘いに乗る形で試合を決めに行く。

70分ドラクスラーに怪我によりパリは

ラクスラー、ケーラー⇔ムニエ、パレデスへと選手交代

またしてもパリは配置変更なんとアウベスがトップの位置に。

マルキーニョスが下がりパレデスがCMFへ。

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パリの選手交代

結果論にはなるがマルキーニョスを下げたことで中盤のフィルターは弱まっていたと思われた。またCMF二人とも割と出ていっての守備をするのでDFラインの前が空いていることも。しかし後ろではやられそうな雰囲気はなく

結局はトレードオフかなと。

パリのカウンターも増えるオープンな展開に。

ムニエはガンガンオーバーラップしてチャンスを作るも決定機には至らず。

この辺のパリのゲームの進め方は悪くはなかったと思う。チャンスも作れていたし、カウンターもある程度潰せていたし。

変に引いてしまうよりは自分達スタイルで勝ち切ろうという好感の持てるゲーム運びだと思われた。

ただマンUもチャンスらしチャンスはなくパリペースで試合は進む。

ぺレイラ⇔チョン

前線の3人はしっかりとプレスに行きつながせないパリ。

あくまで引きすぎず試合を決めに行く。

ヤング⇔グリーンウッド

そして89分ことは起こる。マクトミネイのミドルにキンペンべがハンドでPKを献上。

無情のVAR判定である。

これをラッシュフォードが決めマンUが3-1に。

カバーニを入れて点を奪いに行くもタイムアップでユナイテッドが激闘を制した。

感想

パリはベスト16に魂を引かれているのか!という感じ

このサッカーをして勝ち抜けれないのは切ないし、3失点とも何とも言えない形でかなりの運命力を感じた。

VARに目が行くが戦術的にも見ごたえのある試合であり、スールシャールとトゥヘルの差し合いは非常に面白かった。

5バックで一度引いた采配は結果的に大当たりであったし、段々とラインを整えることで裏抜けをオフサイドに掛け、懸念の右サイドと大外は選手と配置の変更と、序盤に見えた穴を次々とふさいでいったのはお見事。

パリも後半のアウベス、ディマリア、ムバッペの3トップは守備もするしカウンターも早いとトゥヘルらしい論理的な采配でじっさいムバッペが決定機をものにしていれば普通に終わっていた試合であったかと。

個人的に優勝候補だったパリがここで姿を消した。